「FIREするなら、やっぱり高配当株だよね」
そんなイメージ、ありませんか。
毎月チャリンチャリンと配当金が入ってきて、それで生活する。たしかに、夢があります。
でも僕は、あえて逆のことを言います。
FIREを目指すなら、高配当株より「インデックス」の方が合理的です。
こんにちは。18年勤めた県庁を辞めて、総資産3,000万円で主夫FIREした、なおです。
(※FIRE=Financial Independence, Retire Early。資産と支出のバランスを整えて、働かなくても生活が回る状態をつくり、早期リタイアすること。わが家の形はこちら → 主夫FIREとは?)
「え、配当で暮らすのがFIREじゃないの?」と思った人こそ、ぜひ最後まで読んでみてください。
配当金が”数字の上では”そんなにお得じゃない理由と、それでも多くの人が高配当を選んでしまう”ある勘違い”の話をします。投資初心者の人にもわかるように書きます。
- 資産を「貯めてる時期」に高配当がいらない理由
- 「配当がないと、自分で売らなきゃいけない=怖い」は錯覚だという話
- それでもインデックスより配当が向いている人
この記事の前提:「FIREが目的なら」の話です
最初に、ひとつだけ線引きを。
この記事は「FIRE=なるべく効率よくお金を増やして、手間なく暮らすこと」が目的の人に向けて書いています。
「株を選ぶのが趣味で楽しい」「配当金をもらうのが好きなんだ」という人は、そのままでまったくOK。否定するつもりはありません。
あくまで「効率で考えるなら、どっち?」という話だと思って読んでください。
- インデックスファンド:オールカントリー(全世界株)やS&P500など「市場まるごとの詰め合わせ」に1本で投資できる商品。これ1本で何百〜何千社にも自動で分散でき、基本は”値上がり”で資産を増やすスタイル。
- 高配当株:持っているだけで定期的に「配当金(企業が利益の一部を株主に配るお金)」がもらえる株のうち、その配当が多めの銘柄。お金を受け取りながら持ち続けるスタイル。
なぜ「配当金生活」は、こんなに人気なのか

そもそもの話です。
冷静に数字で見ると、配当金にはデメリットがあります(後で説明します)。
なのに「FIRE=配当金生活」というイメージが、これだけ広まっている。なぜでしょう。
理由はシンプルで、「自分で株を売らなくていい」からです。
貯めた資産を自分で売る——これに、多くの人が抵抗を感じます。
「せっかく増やした元本を、自分の手で減らすなんて怖い」と。
その点、配当なら何もしなくてもお金が入ってくる。元本に手をつけてない感じがして、安心できる。
この安心感こそが、配当人気の大きな理由です。
気持ちはわかります。
でも——その安心感、実はちょっとした勘違いかもしれません。 順番に見ていきましょう。
まず「資産を貯めてる時期」は、議論の余地なし
これはもう、はっきりしています。
資産形成の途中、つまりまだお金を貯めている時期に、配当金は要りません。
だって、生活費は給料から出ているわけで、配当をもらっても結局また投資に回すだけですよね。
ところが、ここに落とし穴があります。
配当金は、受け取るたびに約20%の税金が引かれるんです。
たとえば10万円の配当が出ても、手元に残って再投資できるのは約8万円。
これを毎年くり返すと、本来そのまま増えていくはずだったお金が、毎回2割ずつ削られていきます。
一方、配当を出さないインデックスファンドは、中で勝手に再投資してくれます。税金が引かれるのは、将来売るときだけ。それまではフルパワーで複利が効き続ける。
「でも、NISAなら非課税だから関係ないのでは?」と思うかもしれません。
確かに、NISAなら日本の税金(約20%)はかかりません。でも、”再投資”という点では、もうひとつ落とし穴があります。
配当を受け取って、それをまた買い直すと、その買い直しで”NISAの非課税枠”を使ってしまうんです。NISAの枠は一生で1,800万円と決まっているので、配当を再投資するたびに、貴重な枠が減っていく。
一方、配当を出さないインデックスファンドなら、枠を1円も使わずに、ファンドの中で再投資が続きます。 だからNISAでも、「配当を出さない方が、枠をムダなく使える」んです。
日本の税金(約20%)はNISAで非課税になりますが、米国株や米国の高配当ETFの配当は、NISAでもアメリカで約10%引かれます(しかも取り戻せません)。配当は、こんなところでも地味に損をしています。
- もらうたびに約20%課税 → 再投資できる額が毎回減る
- 「お金が働いてくれてる実感」は得られるが、その実感を”税金”で買っている状態
貯めてる時期の配当は、数字だけ見れば純粋にマイナス。 ここはもう、議論の余地がありません。
本題:「自分で売るのが怖い」は、本当に正しい?

さて、ここからが本番です。
「貯めてる時期はわかった。でも、リタイア後に生活費を作る段階になったら、配当の方が安心でしょ? だって自分で売らなくていいんだから」
——これが、配当派の最大にして最後の理由です。
そして、ここに一番大きな勘違いがあります。
① 配当でもらうのも、自分で売るのも、実は同じ
意外と知られていませんが、配当が出ると、その分だけ株価は下がります(「配当落ち」といいます)。
つまり、配当10万円をもらう=株の価値が10万円ぶん減る、ということ。
あなたが10万円ぶん株を売っても、結果は同じなんです。
「配当だから元本に手をつけてない」という感覚は、気持ちの問題であって、お金の動きとしては”売る”のとまったく同じ。むしろ配当は(特定口座なら)税金で不利なぶん、損をしています。
② 「配当」は、自分で作れる
だったら、話は簡単です。
月に10万円ほしいなら、インデックスを10万円ぶん売ればいい。
これ、”自分で配当を作ってる”のと同じことです。しかも、金額もタイミングも自分で決められる。
配当はこうはいきません。「会社が決めた額」が、「会社が決めたタイミング」(日本株なら年1〜2回、米国株でも年4回)にしか入ってこない。毎月もらえるわけでもないし、いくら入るかも自分では決められないんです。
よく考えると、これは生活費を支える土台としては、けっこう心もとない。来月いくら入るか・いつ入るかを”会社まかせ”にして、その上で毎月の家計を組む——ライフプランの足場としては、なかなか不安定ですよね。
その点、インデックスの取り崩しなら「毎月、必要な額を、自分のタイミングで」出せる。生活費の土台としては、こっちの方がずっと頼れます。
③ 「売る判断が面倒・怖い」も、もう解決できる
「とはいえ、毎月自分で売り注文を出すのは面倒だし、怖い」
その気持ちにも、ちゃんと答えがあります。
証券会社の「自動売却(定期売却)」を使えばいいんです。
「毎月25日に5万円ぶん売って入金」と設定しておけば、あとはほったらかしで、配当みたいに自動でお金が入ってきます。
- 楽天証券:金額(定額)/定率/期間で自動売却を設定できる(定率は楽天が業界初)
- SBI証券:2025年12月から定率・期間指定にも対応。NISA口座でもOKに
つまり「売るのが怖い・面倒」という配当を選ぶ最大の理由は、もう設定で消せるんです。
そして、もっと根本的なことを言わせてください。
そもそも、取り崩しは”目的”じゃありません。 目的は、生活費を作ること。お金が必要なら、怖いも何も、売るしかないんです。崩さなければ暮らせないんだから。
だから、それを淡々とこなす仕組み(自動売却)を用意するだけ。そこに”怖さ”が入り込む余地は、本当はないんです。
もっと言えば、高配当株にだって不利な点はあります。
インデックス派は、最初から「元本を取り崩して暮らす」前提で設計しています。 一方、高配当派は「金の卵(元本)には手をつけない」つもりでいることが多い。だから、いざ減配で元本を売らざるを得なくなったとき——想定外だったぶん、精神的に揺れやすい面はあるかもしれません。
つまり、「インデックス売るのが怖い」は高配当株を選ぶ根拠としては弱いと思うのです。
ここで、僕の正直な現在地を。 実は僕自身、今はまだインデックスを取り崩していません。生活費は現金(と妻の収入)で回せているからです。
いざ必要になったら、自動売却にするか、その時々で必要な分だけ自分で売るか——そこはまだ決めていません。でも、どっちにしても「売るのが怖い」とは思っていません。理由は、ここまで読んでくれたあなたなら、もうわかりますよね。
決め手は「効率」

じゃあ、何で決めるのか。やはり投資の”効率”です。
そして効率で考えると、いちばん効いてくるのは「成長」の差。
高配当株は、配当をたくさん出せるくらい成熟した会社が中心です。安定はしていますが、裏を返せば「これから大きく伸びる会社」を取りこぼしやすい。一方、世界全体に分散したインデックスなら、いま伸びている会社も自動で取り込んでいける。長い目で見て、資産が伸びやすいのはこっちです。
「これから増やしたい」なら、成長を取りこぼさないインデックスに分がある——ここがいちばんの決め手だと思っています。
課税口座(NISAの外)で運用するなら、税金面でもインデックスに分があります。
- 貯めてる時期:配当は受け取るたび約20%課税され、再投資に回せる額が削られる。無分配のインデックスは、売るまで課税ナシで複利が止まらない
- 取り崩し期:配当は受け取った全額が課税対象。一方インデックスの取り崩し(売却)は、課税されるのは”値上がり益の部分”だけで、元本の払い戻し分は非課税。同じ額を引き出すなら、取り崩しの方が税金は軽い
——とはいえ、すべてNISA内で買うなら、この差はまるごと関係なし(配当もインデックスも非課税だから)。NISA枠(1,800万円)で収まる人は、税金は気にしなくてOKです。
それでも気になる? 高配当株派のギモンに答えます
ここまで散々言ってきましたが、高配当株派から「いやでも…」とツッコミたくなるポイントもあるはず。フェアに、正直にお答えします。
正直、それは一理あると思います。でも個人的には「増えるなら増えるだけいいじゃん」というスタンスです(笑)。資産が増え続ければ、長生きしてもお金が尽きにくい=長寿化の保険にもなりますしね。
たしかに、その傾向はあります。高配当株は電力・通信・銀行みたいな”地味だけど安定した成熟企業”が中心で、「これから急成長するぞ」という期待で株価が膨らんでいないぶん、暴落で剥がれ落ちる”のりしろ”が小さいんです。
ただし、高配当株だって暴落時には配当が減らされることもあり、配当生活そのものが揺らぐリスクがある。「下げ幅が小さい=安全」とは言い切れません。
それは効率の話じゃないので、好きにやるのが一番です。実は僕も、勉強がてらほんの小額だけ高配当株を持っていたりします(笑)。インデックスをコア資産として、お楽しみ枠で高配当株を買うという方法もアリかなと思います。
まとめ:知らずに選んでるなら、考え直す価値あり
- 資産を貯めてる時期に、配当は要らない(むしろ再投資の効率が落ちる)
- 「自分で売るのが怖い」は、必要な分だけ売る+自動売却で解決できる錯覚
- 長い目で見た”成長”では、インデックスに分がある
「配当金生活」への憧れは、よくわかります。
そして投資でいちばん大事なのは、選んだものを信じて持ち続け、暴落がきても狼狽売りしないこと。どんなに理屈で優れた方法でも、途中で投げ出してしまえば結果は出ません。だから、自分が納得して安心して続けられることが、何より大事なんです。仕組みを知ったうえで、それでも配当の安心感のほうが続けられると思うなら——それは、その人にとっての正解だと思います。
ただ、もし「なんとなく、FIREって配当でしょ」と、よく知らないまま選んでいるなら。一度立ち止まって、考えてみる価値はじゅうぶんあります。
知ったうえで選ぶのと、知らずに選ぶのは、まったく違うので。
それでは、また!

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