ジュニアNISAの売却タイミング|出口は「売る日」と「引き出す日」を分けていい
わが家の教育資金は、子ども2人分のジュニアNISAです。
現在、合わせておよそ1,000万円。
前回の記事で、教育資金の作り方——いくら・いつまでに・何で貯めるか——を整理しました。
今回はその続き、出口の話です。
ジュニアNISAの出口には、普通の口座と違う特殊ルールが2つあります。
一部だけ引き出せない。売ったら買い直せない。
このルールを知らないまま高3を迎えると、選択肢がないところで相場と向き合うことになる。
逆に、知っていれば答えはシンプルです。
この記事では、その理屈と、わが家が実際に回している出口ルール——今年の初回売却でさっそく起きたリアルな誤差も含めて——をまとめます。
ジュニアNISAを持っている人にはそのまま、新NISAで教育資金を貯めている人にも「期限のあるお金をどう売るか」という同じ構造の話として使えるはずです。
- ジュニアNISAの2026年時点のルール整理(できること・できないこと)
- 「売る日」と「引き出す日」を分ける2段構えの出口設計
- わが家の出口ルールの実物と、初回売却(2026年5月・約84万円)のリアル
- 前半は「残高」で・後半は「日付」で売る、実年表つきの段取り
① 前提のおさらい:教育資金は「期限のあるお金」

前回の記事の要点だけ、ざっくり。
- 老後資金は使う時期を動かせる(暴落なら取り崩しを待てばいい)。教育資金は動かせない。「待つ」が使いにくい、家計の中でも特別なお金
- わが家の目標は1人800万円(私立文系・自宅通学想定)を高校3年の時点で
- 教育資金のリスクは終盤に集中している。だから対策も終盤に集中させる——「100%株式のまま支払いの時期に突入しない」
ここまでが設計図。
ここからは、その設計図をジュニアNISAという特殊な口座でどう実行するか、です。
② ジュニアNISAは「片道ドア」の口座

2026年時点のルール整理
ジュニアNISAは、2023年末で新規の買付が終わった、もう入口の閉じた制度です。
ただし口座の中身はまだ生きています。
| できること | できないこと |
|---|---|
| 18歳まで非課税で運用継続(5年経過分は「継続管理勘定」へ自動移行・手続き不要) | 新規の買付(2023年末で終了) |
| 口座内での売却はいつでも自由 | 一部だけの払い出し(出すなら全額+口座廃止) |
| 1月1日時点で18歳の年に課税口座へ自動移管。それまでの含み益は非課税で確定 | 新NISAへの移管(ロールオーバー不可) |
「売る」と「引き出す」は別の行為
この表でいちばん大事なのは、売却と払い出しが別物だということです。
口座の中で投信を売って現金にしておくのは自由。
でもその現金を口座の外に出すには、全額を払い出して口座を閉じるしかない。
これを知ると、出口の設計が変わります。
「売る日」と「引き出す日」を、分けていい。
※自動移管は「1月1日時点で18歳の年」。早生まれ(正確には1月3日〜4月1日生まれ)の子は1年遅れて大学1年の1月1日になります(詳しくは④の補足で)。
ジュニアNISAの出口は、この2段構えができます。
売ったら戻れない——リバランスできない口座
そしてもう1つ、この口座の特殊な性質。
売却後の現金で買い直すことができません。買付は2023年で終わっているからです。
普通の口座なら「値動きの荒い商品から穏やかな商品へ、徐々に買い替える」というリスク調整ができます。
ジュニアNISAではそれが不可能。売却は常に一方通行で、売ることだけが唯一のリスク調整手段です。
言ってみれば「片道ドア」の口座です。くぐったら戻れない。
この性質を前提に、ルールを作っていきます。
③ わが家の出口ルール——作り方と、初回のリアル

教育資金がレバナスになった経緯と、後悔していない理由
先に白状しておくと、わが家のジュニアNISA、中身はレバナス(iFreeレバレッジNASDAQ100:ナスダック100の2倍の値動きを目指す投資信託)がメインです。
教育資金という一番堅実であるべきお金を、値動きのかなり荒い商品で持っている。
僕自身、人に勧められる手法だとは思っていません。
そもそも、いまの新NISAではレバレッジ型の投信は対象外なので、真似したくてもできない話でもあります。
じゃあ、なんで買ったのか。
買い始めた当時は、ちょうどレバナスという商品が世に知られて、かなり流行っていた時期でした。
流行に背中を押されたのは、正直あると思います。ただそれだけではなくて、自分なりに情報を集めたうえで、実はかなりいい商品だと考えて買いました。
で、結果はどうだったのか。
わが家は子ども1人につき年80万円の枠を3年間ほぼ使い切って、元本は1人240万円弱。
それがいまは、どちらの口座も倍くらいになっています。
リスクを取った対価は受け取ったので、買ったこと自体を後悔してはいません。
問題は商品の良し悪しではなく、用途との相性です。
「暴落しても数年で戻る」という経験則は、S&P500やオルカンのものです。レバレッジ型には通用しません。
うちの口座で実際に起きた数字が、これです。
- ナスダック100は高値から約36%下落
- iFreeレバナスは高値43,151円→15,000円台、約64%下落(為替ヘッジ型なので、円安の追い風もない素の数字)
- 高値回復は、指数が2023年末に対してレバナスは2024年11月=約1年遅れ(日米金利差で、為替ヘッジのコストもかさんだ時期でした)
レバレッジ型は、下げが深いだけでなく、下げからの戻りも構造的に指数より遅れる。
今回は底から約2年で戻ってくれましたが、それは結果論。過去には、ナスダック自体が高値の回復に約15年かかった時代もありました。
値動きの荒い商品を持つこと自体は選択ですが、持つなら出口のルールが人一倍必要になる——そう考えて、僕はロードマップを作りました。
わが家の出口ルール
前半は「残高」を合図に売り、後半は「日付」を合図に売る。
相場を読む要素を最初から消してある設計です。
初回売却のリアル——100万円のつもりが、約84万円
今年、最初のトリガーが来ました。
2026年5月、長女の口座残高が500万円を超えたんです。
当初のルールでは「1回100万円」の予定でした。
実際に売ったのは、合計836,198円。レバナスを約65万円、金の投信とテーマ型投信で約19万円——売る順番のルールどおり、リスクの高いものから売りました。

※SBI証券の実際の約定履歴(2026年5月12日約定)。iFreeレバレッジNASDAQ100を筆頭に5本、合計836,198円です。
……はい。正直に言うと、上がっている最中に売るのがもったいなくて、売る額を少しだけ減らしてしまったんです(笑)
たいした差ではないんですが、この「少しだけ減らす」に出口の難しさが全部詰まっていると思います。
「まだ伸びるのに」「売ったら買い戻せないのに」——片道ドアの口座では、売却のためらいに構造的な理由まで付いてくる。
100万円は重かった。だから50万円にした
そして実際に売ってみて分かったのは、1回100万円はちょっと重いということ。
そこでルールを直しました。
- 旧:500万円を超えたら100万円売る → 初回から額を減らしてしまった(笑)
- 新:500万円を超えたら50万円売る。ただし年3回・合計120万円まで
金額を小さくしたのは、続けるためです。1回の痛みが小さければ、手が動きやすい。
売却の目的は現金を最大化することではなく、売却という行為が止まらないようにすることです。
それに、いまの評価額は投入額の倍以上あります。
利確を重ねて、売った合計がやがて元本(2人で480万円弱)に届いても、口座にはまだ同じくらいの残高が残っている計算。
そこまで来れば、最悪相場が半分になっても「入れたお金は返ってきている」状態で構えられます。この安心感は、数字以上に大きい。
そして「年3回・合計120万円まで」という上限には、別の理由があります。
子ども名義の口座でも、売却の仕方によっては共済の被扶養者認定に関わってくる可能性があるからです。
認定の目安は年収130万円未満。そして支部によっては株の売却を「収入」の例に挙げていて、しかも売却代金の額面で数えるのか、利益で数えるのかは明文がないことが多いのです。
1回の額を50万円に下げても、好調な年はトリガーが年に何度も来るので、合計は膨らみうる。
だから年間の合計に頭打ちを付けて、額面で数えられても130万円に届かない形にしました(上限は1人あたりで計算しています)。
認定のルールは共済支部ごとに異なるので、詳しくは株の売却・配当と扶養の記事に譲りますが、「非課税だから何をしても無関係」ではない、という点だけここに置いておきます。
④ わが家の出口の段取り——前半は残高で、後半は日付で

まとめとして、わが家の実年表です。
| 年 | 上の子(小4) | 下の子(小2) | やること |
|---|---|---|---|
| 2026(いま) | 小4 | 小2 | 500万円超えたら50万円利確(年3回・計120万円まで)。適用は上の子から。下の子はまだ時間があるので、残り8年になる2年後から同じルールに乗せる |
| 〜中学卒業 | 中学 | 小・中学 | 残高ルールを継続。暴落が来ても慌てて売らない(時間がある) |
| 高校3年間 | 高校 | (2年後に同じ流れ) | 高1末・高2末・高3の秋に機械的に売却。相場は見ない |
| 2034年度 (高3・受験) |
高3 | 中3 | 2035年1月1日に課税口座へ自動移管。合格発表後、入学金と前期学費を必要な分ずつ出金(秋の推薦入学金だけは、払い出すか家計で立て替え) |
| 2036年度 (高3・受験) |
― | 高3 | 下の子も同じ出口を通る(移管は2037年1月1日) |
そして移管後は普通の課税口座なので、在学中は必要な分だけ出金できます。「全額しか出せない」縛りは、移管前のジュニアNISA口座だけの話——実際にこの縛りに当たるのは、高3の12月末までに現金が必要なケース(推薦の入学金など)だけです。
ただし早生まれの子は移管が1年遅れる(大学1年の1月1日)ため、入学時の支払いは移管を待てず、全額払い出しでの対応が現実的です。
ポイントを3つだけ。
- 前半(〜中学卒業)は残高で売る。「500万円を超えたら」が合図。相場観はいらない
- 後半(高校3年間)は日付で売る。相場が良くても悪くても、決めた時期に決めた額。支払い直前に「100%株式のまま」でいる事故を、カレンダーの力で防ぐ
- 売るのはレバナスを中心に、荒いものから。「数年で戻る」の経験則が効くインデックス部分は、後ろまで引っ張っていい
3回目を「卒業前」でなく「高3の秋」にしているのは、入学金の納付が推薦なら11月頃に来るからです。
支払いが始まるのは高3の秋以降で、しかも学費の残りは在学中に分割でやってきます。
高1末・高2末の売却は、いわば前倒し分。数か月〜1年ずらしても間に合います。
ただし、待てる余白は後ろの回ほど減っていき、最後の高3の秋はもう待てません。
だから前倒しで始めて、待てる回数を残しておく。
「機械的に売る」と「暴落では待つ」は、同じ設計の表と裏です。
そして、もし使わずに余ったら。
前回の記事にも書いたとおり、もともと本人名義の資産なので、18歳からはそのまま本人が運用を引き継ぎます。
まとめ:出口ルールは「実行できる小ささ」で
- ジュニアNISAは片道ドア。売却だけがリスク調整手段で、「売る日」と「引き出す日」は分けられる
- 出口ルールは、前半は残高で・後半は日付で。相場を読む要素を設計から消しておく
- そして金額は、自分が実行できる小ささで。100万円が重かった僕は、50万円にして続けています
出口は、口座の残高を眺めているだけでは進みません。
でもルールさえ決めてしまえば、売る日は残高とカレンダーが決めてくれます。
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それではまた次の記事で。
※制度・数字は2026年7月時点の情報です。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。


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