教育資金の貯め方はNISAでいい?|いくら・いつまでに・何を、元公務員の答え

資産運用・新NISA

教育資金の貯め方はNISAでいい?|いくら・いつまでに・何を、元公務員の答え

「教育資金をNISAで準備? 危なくない?」
そう思う人は多いはずです。
でも一方で、現金だけで貯めるのは実はもったいない、という面もある。

なお
わが家は投資で貯める側を選びました。子ども2人分のジュニアNISAで、現在合わせておよそ1,000万円。教育資金は、老後資金とは別の「別枠」として運用しています。

とはいえ、教育資金には老後資金と決定的に違う性質があって、そこを押さえずに「とりあえずインデックスを積み立てればOK」とやると、事故りかねません

この記事では、いくら・いつまでに・何で貯めるか、という教育資金の設計図を順番に整理します。

この記事でわかること
  • 教育資金は「期限のあるお金」=老後資金と何が違うのか
  • 大学までにいくら必要か(進路別の早見表)と、月いくら積めばいいか(利回り別の早見表)
  • 投資で貯めていい条件と、絶対に避けたいたった1つの事故
  • いま使える「箱」の整理(親の新NISA・こどもNISA)
この記事を書いた人:18年勤めた県庁を早期退職し、主夫FIRE中の「なお」です。教員の妻と、子ども2人(小4・小2)の4人家族。家計や資産は、実額で公開しています。

① 教育資金は「期限のあるお金」

カレンダーと砂時計を前に考える父親

老後資金との決定的な違い

資産運用の話は、たいてい老後資金を前提にしています。
老後資金には、実は大きな逃げ道があります。

取り崩す時期を、自分の都合で動かせることです。
以前書いた資産の取り崩し方の記事も、この「動かせる」余裕があるから成り立つ話でした。

教育資金には、それがほぼありません。

※この記事では、教育資金=大学進学の費用を想定して話を進めます。

老後資金
取り崩す時期を動かせる暴落が来たら、取り崩しを待てばいい。「待つ」が最強の防御になる。
教育資金
取り崩す時期を動かせない大学に行くなら、入学の時期はこちらの都合では動かせない。「待つ」が使えない。

「相場が悪いので入学を2年延期します」は通用しない。
教育資金は、家計の中でも「待てない」代表格のお金です。
投資で貯めていいかどうかの議論は、ぜんぶこの一点から始まります。

いくら必要か:進路別の目安

進路別に、4年間の学費(入学金込み・自宅通学の場合の目安)はだいたいこうなっています。

進路(自宅通学) 学費のみ 通学費など込みの総額
国公立 約250万円 約480万円
私立文系 約400〜450万円 約690万円
私立理系 約550〜600万円 約820万円
(参考)下宿・一人暮らし 上記総額+300〜400万円級

※「学費のみ」=入学金・授業料等の納付金(出典:文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」「私立大学等の入学者に係る初年度学生納付金等調査」をもとに4年分を概算)。「総額」=受験費用・通学費・教材費などを含む4年間の在学費用(出典:日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査」2021年度)。国公立も、東京大学など授業料を引き上げる大学が出てきています。

学費そのものより、通学費や教材費まで含めた「総額」で見るのが実態に近い数字です。

わが家は、進路のボリュームゾーンである私立文系・自宅通学を想定して、1人あたり800万円を高校3年の時点で用意する目標にしています。
総額690万円に、余裕を見て800万円です。

※「用意する」といっても、高3で全額を現金にしておく意味ではありません。残高として届いていればOK——現金にしていく段取りは②で書きます。

もちろん一人暮らしになればもっとかかりますし、インフレを考えるとやや心もとない数字でもあります。
でも、不足が出たらそのとき家計から補えばいいし、本人がバイトで稼いだり、最後の調整弁として奨学金という手段もある。
完璧に備えるより、まず土台の800万円です。

高校までは「日々の家計」で行ける

読者
大学の分はわかったけど、高校までの分は貯めなくていいの?

この疑問には、原則こう答えられます。

高校までは月々の家計で払える。貯めておくべき塊は、大学の分だけ。

高校の授業料は、2026年度からは公立・私立とも所得制限なしで実質無償化になりました(公立は2025年度から先行。私立は年45.7万円まで支援)。

私立の場合は施設費・制服代など授業料以外の負担が上乗せされますが、これらも基本は入学時と月々・年々の出費で、大学のような数百万円の塊にはなりません。

あとは塾代。ここが一番大きい家庭も多いですが、これも月々の出費です。

教育費で「まとまった現金が一気に要る」のは大学だけ。
だから教育資金の話は、実質「大学資金の話」です。

800万円が一度に要るわけではない

さらにいうと、800万円が一度に必要なわけでもありません。
最初に払うのは入学金と前期の学費で、私立文系なら150〜200万円ほど。残りは在学中に分割でやってきます。

2年目の学費には、もう1年の猶予がある。
出口は思っているよりなだらかに設計できます。

なお、最初の支払いは入学式より早めに来ます。入学金の納付期限は合格発表の直後で、推薦入試なら高3の11〜12月頃です。
もうひとつ。子どもが2人以上いる家庭は、在学が重なる年は支払いも2人分になります。わが家も2学年差なので、2年間は2人分の学費が並走する予定です。

② 投資で貯めていいのか?——答えは「金額」でなく「年数」

天秤に現金と投資信託を載せて見比べる様子

15年あれば、インデックスはほぼ負けていない

「使い道の決まったお金を投資で持つのは危ない」とよく言われます。
半分正しくて、半分ちがうと思っています。

分かれ目は、使うまでの年数です。

S&P500のようなインデックスの過去実績では、1年だけ持った場合、およそ4回に1回は元本割れしています。
それが10年持つと、元本割れは世界恐慌やリーマンショック級の例外だけになる。
そして15年持てば、元本割れした期間はなくなります

ひとつ注意しておくと、これは米ドル建て・配当込みの実績です。
僕らは最後に円へ戻して使うので、為替のぶん、この数字より少し保守的に見ておく必要があります。

0歳で積立を始めれば、大学まで18年。
年数だけ見れば、十分に長い。だから、目安はこうなります。

10年以上ある

運用で持つ選択肢は十分ある
5年を切った

順次、現金に寄せる時期
来年使う

もう投資で持つお金ではない

「5年」という数字そのものに、厳密な根拠はありません。
ただ、10年持っても「まれに負ける」ことはある。
ふつうの投資なら、そのまれも引き受けられます。
でも入学金の支払いで、その「まれ」に当たるわけにはいきません
だから、期限の手前で降りておく。「5年」はそのための目安です。

※過去の実績は将来を保証しません。

月いくら積めば800万円に届くか

目標800万円に必要な月々の積立額を計算してみました。

積立期間 現金のみ 年3%運用 年5%運用 年7%運用
18年(0歳から) 3.7万円 2.8万円 2.3万円 1.9万円
15年(3歳から) 4.4万円 3.5万円 3.0万円 2.5万円
10年(8歳から) 6.7万円 5.7万円 5.2万円 4.6万円

※目標800万円・毎月積立・複利計算。税・手数料は考慮せず。利回りは保証されるものではありません。終盤は現金に寄せていく(後述)ぶん、迷ったら一列左(年5%のつもりなら年3%の列)が堅めです。

目標額はもちろん家庭それぞれです。ただ、この表は比例でそのまま読み替えられます
表の金額 ×(あなたの目標 ÷ 800万円)——目標500万円なら表の6割ちょっと(0歳・年5%で月1.4万円)、1,000万円なら1.25倍(月2.9万円)です。

見どころは2つあります。

1つ目。0歳スタート・年5%なら月2.3万円
児童手当は3歳まで月1.5万円、その後は月1万円。いまは高校生まで出るので、全部積み立てると総額約234万円
積立総額約497万円のうち、半分近くを国が積んでくれる計算です。

2つ目。スタートが遅いほど、運用で楽できる度合いは小さくなる
8歳スタート(積立期間10年)だと、現金6.7万円と年5%運用5.2万円の差は月1.5万円まで縮みます。

早く始めた家庭ほど複利が働き、遅く始めた家庭ほど結局は入金力の勝負。
残酷ですが、これが現実です。

教育資金のリスクは「終盤」に集中している

ここで、教育資金ならではの構造を1つ。

積立の途中に来る暴落は、実はそれほど怖くありません。
むしろ安く買える期間になるので、長期的にはプラスに働くことすらある。
積立中の含み損は、時間が解決してくれることがほとんどです。

怖いのは、終盤の暴落だけです。

高3の秋、入学金を払う直前に残高の全部が株式のままで、そこに40%の下落が来たら。
それまで17年間の積立が順調だったかどうかは、もう関係ありません。

その時点の残高がすべて。
積立だろうが一括だろうが、最後の1〜2年に全額を市場に晒していたら同じことです。

だから結論はこうなります。

100%株式が危険なんじゃない。
100%のまま「支払いの時期」に突入するのが危険。対策:出口の2〜3年前から、段階的に現金へ寄せる

序盤は株式100%で走っていい。
リスクが終盤に集中しているのだから、対策も終盤に集中させればいい

この「終盤の設計」とセットにして、はじめて「教育資金を投資で貯めるのはアリ」と言えます。

※もちろん、序盤から100%で走るかどうかは、値動きに耐えられるかという「性格」の問題が別にあります。怖ければ株式の割合を下げていい——その場合は、②の表を低めの利回りの列で見る、というだけの話です。

「現金に寄せる」の具体的な段取り

では、「現金に寄せる」とは具体的に何をするのか。

ポイントは、800万円をまるごと現金化する必要はないことです。
①で見たとおり、支払いは入学金+前期の学費150〜200万円から始まり、残りは在学中に分割でやってきます。
支払いが分割で来るなら、現金化も分割でいい。支払いの近い分から順番に寄せていきます。

さっきの目安の「5年を切ったら」は、この準備の開始合図です。

寄せ方の一例(私立文系・800万円の場合)
  • 高1〜高2:最初の1年分(入学金+前期・後期の学費で200〜300万円)を先に現金へ
  • 高3〜在学中:残りは、それぞれの支払いの2〜3年前をめどに順次現金化
  • 大学後半の学費は、高3の時点でもまだ支払いまで3〜5年ある。急いで全部売る必要はありません
売り方のコツ
  • タイミングを当てにいかない。「上がったら売ろう」と待ち始めると終わらない。たとえば300万円なら「半年おきに100万円ずつ3回」のように、売る日をあらかじめ日付で決めて機械的に
  • 「売らずに寄せる」もアリ。まだ積立中の家庭なら、新規の積立を止めて、その分を現金で貯めていく
読者
売る予定の日が、ちょうど暴落の真っ最中だったら…?
なお
その回は見送ってOK。数か月〜1年待てるだけの余白が、もう組み込まれています。

2〜3年前から始めるのは、まさにこのため。
早く始めた人だけが、暴落の日に売らずに済む——期限ギリギリに始めると、下がっていても売るしかなくなります。

もっと言えば、最初から「投資+現金」の二本立てで積む設計もアリです。
たとえば児童手当は現金のまま貯めて、上乗せ分だけ投資に回す。
増え方は控えめになりますが、終盤に寄せる作業そのものが小さく済む、いちばん心穏やかな形です。

さっきの目安の「来年使う→もう投資で持つお金ではない」も、全額の話ではありません。
同じ800万円の中に、来年払うお金と、5年後に払うお金が同居している。
支払いの時期ごとに、別々のお金として扱うのが、この設計のコツです。

学資保険はどうなのか

いまどきの返戻率は、高い商品でも105〜110%ほど。
18年かけてそれなので、払込期間などにもよりますが、年利換算でも1%に届かない水準です。

インフレに負ける水準なので、これから選ぶ商品としてはおすすめしません。
すでに加入している人は、解約返戻金の損得と相談です。

なお
実はわが家も、最初は学資保険でした。でも2〜3年で「これは増えない」と気づいて、ぜんぶジュニアNISAに回しました。あのとき乗り換えていなければ、④の1,000万円はありませんでした。

③ 何で貯めるか——いま使える「箱」の整理

大小の貯金箱を並べて選ぶ親子

基本は親の新NISA内で「別枠管理」

ジュニアNISAはもう新規で始められず、後述の「こどもNISA」は2027年から。
いま始める家庭の基本形はこうなります。

これから貯める家庭の基本形
  • 親の新NISAの中で「教育資金分」を分けて管理する。口座は分けられないので、商品を分けるか、記録で分ける。「この投信の何万口は教育資金」と決めておくだけでも機能します
  • 本質は箱ではなく、老後資金の計算式に教育資金を入れないこと。別枠は、別の出口ルールで動かす

子ども名義の証券口座(課税)という選択肢もありますが、非課税メリットがない分、当面は親の新NISA内で管理するほうが合理的だと思います。

ちなみに僕自身のNISA口座は楽天証券です。これから親のNISAに「教育資金の別枠」を作る人の選択肢としてどうぞ。

2027年スタート:こどもNISA

もうひとつ、新しい箱の登場が決まっています。
2025年末の税制改正大綱で創設が決まった「こどもNISA」。2027年からのスタートが予定されています。

こどもNISAの中身(決定済みの枠組み)
  • 対象は0〜17歳。年間60万円・非課税の上限600万円
  • 買えるのは、つみたて投資枠と同じ長期積立向けの投資信託
  • 払い出しは12歳以降、子ども本人の同意があれば可能
  • 18歳になったら、資産はそのまま大人のNISA(つみたて投資枠)に自動的に移行される

これから貯める家庭には、親の新NISAと並ぶ選択肢のひとつになります。

ちなみにわが家は、こどもNISAを使う予定はいまのところありません。
ジュニアNISAで目標へ届く算段ですし、そもそも新しい枠に回す資金の余力もいまはありません。

※制度の細部や証券会社側の対応は、開始までに変わる可能性があります。

④ わが家の場合——ジュニアNISAで1,000万円

2つの植木鉢で育つ若木に水をやる父親

最後に、わが家の実例を。

わが家は子ども2人分のジュニアNISA(2023年で新規買付が終わった旧制度)で、合わせて約1,000万円を運用しています。
18歳まで非課税で運用を続けられるので、上の子で残り8年、下の子で残り10年。

マネーフォワードMEの口座画面。子ども2人のSBI証券口座の残高

※マネーフォワードMEの実際の画面(2026年7月時点)。2人合わせて約1,017万円です。

なお
正直に言うと、わが家の「1人800万円」は運用益をあてにした数字です。ジュニアNISAは2023年で入金が締め切られたので、積み立てはもう終わり。いまの残高が残りの年数で育てば届く、という算段です。

これから積み立てる家庭は、②の早見表で自分の年数×利回りの列から積立額を逆算すれば大丈夫です。
年数が15年とれるなら、運用益を見込むのは決して甘い想定ではありません。
10年前後なら、年3%の列を基本に見ておく——5%は上振れしたらラッキー、くらいの扱いが釣り合いだと思います。

そして、もし使わずに余ったら。
もともと子ども名義の口座なので、余った分はそのまま子どものものとして残ります。

18歳からは、今度は本人が自分の手で運用を続けていく
親が代わりに握っていたハンドルを、そのまま渡すだけです。
僕自身、複利を実感できたのは資産1,000万円を超えてからでした。10代でその時間を持てるのは、単純にうらやましい条件です。

ところでこのジュニアNISA、「いつ・どう売って現金にするか」という出口が、実はかなり厄介です。
一部だけ払い出せない、売ったら買い直せない、という特殊ルールの口座だからです。

なお
出口の段取りの実際は、長くなるので別の記事にまとめます。

まとめ:設計図は「期限」から逆算する

この記事のまとめ
  • 教育資金は「期限のあるお金」。暴落が来たら、回復を待ってから使うことができない
  • 貯める塊は大学の分だけ。ボリュームゾーンの私立文系・自宅なら800万円あれば余裕を持てる
  • 投資で貯めていいかは金額でなく年数で決まる。リスクは終盤に集中しているから、対策も終盤に集中させる
  • 0歳スタート・年5%なら月2.3万円。児童手当を回すだけで半分近く積める
  • 箱は親の新NISAで別枠管理が基本形。2027年からは「こどもNISA」も選択肢のひとつに

教育資金は、金額の大きさで身構えてしまいがちです。
でも実際に設計してみると、「期限から逆算して、終盤だけ守る」というシンプルな話でした。

設計図ができたら、あとは箱の用意から。僕も使っている楽天証券なら、NISA口座までネットで完結します。

それではまた次の記事で。

主な参考:文部科学省「私立大学等の入学者に係る初年度学生納付金等調査」/日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査」(最新は2021年度調査。以後の学費上昇は未反映)/金融庁 NISA特設サイト・令和8年度税制改正関連資料
※学費・制度の数字は2026年7月時点の情報です。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

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