「住宅ローンは、固定と変動どっちがいいの?」
——正直に言うと、僕は長いこと「答えはない」と思ってきました。いまでも半分はそう思っています。
でも今年、わが家は当初10年固定の満期を迎えて、「次の10年は2.45%です」という提示を受けました。1.2%で借りた人間にとっては、なかなか衝撃的な数字です。
この経験を経て、「これから借りる人にどっちをすすめる?」と聞かれたら、いまははっきり答えられます。
低金利の時代なら、変動でよかった。でもこれからの時代は——家計が詰むリスクをなくすなら、固定がベターだと思っています。変動を選んでいいのは、条件を満たした人だけです
こんにちは、18年勤めた県庁を早期退職し、主夫FIRE中のなおです!
(※FIRE=Financial Independence, Retire Early。資産と支出のバランスを整えて、働かなくても生活が回る状態をつくり、早期リタイアすること。わが家の形はこちら → 主夫FIREとは?)
満期のときにわが家がお金をどう動かしたか(変動への切り替え+750万円の繰り上げ返済)は、前回の記事に書きました。今回はその続きというより、土台の話。固定か変動かを、わが家の体験から得た考え方で整理します。
- 10年固定の満期で実際に提示された数字——「金利が上がる時代」のリアル
- 低金利時代の常識「変動有利」が、なぜそのまま使えなくなったのか
- それでもわが家が変動を選んだ理由と、その条件
- 固定か変動かを決める、シンプルな3つの順番
10年固定の満期で、提示された数字

まず体験から。わが家は10年前、中古の一戸建てを2000万円・35年ローンで購入し、金利タイプは当初10年固定・1.2%を選びました(このあたりの経緯は持ち家か賃貸かの記事で)。
白状すると、なぜ10年固定にしたのか、実はよく覚えていません。覚えているのは、妻が「上がるかもしれない変動は怖い」という固定派だったこと。それと、全期間固定ほど高くなく、変動ほど怖くない——「中間の安心」に見えたこと。それくらいの理由だったと思います。この「中間の安心」の正体は、あとでわかります。
その10年固定が、今年満期を迎えました。金融機関から提示された選択肢がこちらです。
⚖️ 10年固定の満期で提示された金利
| 選択肢 | 金利 |
|---|---|
| これまで(当初10年固定) | 1.2% |
| もう一度固定にする | 2.45%(倍以上!) |
| 変動に切り替える | 1.575% |
ニュースで「日銀が利上げ」と聞くのと、自分のローンの数字が倍になるのとでは、衝撃がまるで違います。
「金利が上がる時代」を、頭ではなく家計で体感した瞬間でした。
そしてこのとき気づいたんです。10年前に世の中に溢れていた「低金利だから変動が有利」「低金利のローンは繰り上げ返済せず投資に回せ」という常識は、ぜんぶ「低金利」という前提があっての話だったんだな、と。
その前提が、いま静かに崩れつつあります。
固定か変動か:答えはない。でも、時代によって「ベター」は変わる

最初に書いたとおり、固定vs変動に絶対の正解はないと思っています。どちらの言い分も、僕にはよくわかるんです。
変動派の言い分
- 目先の金利は明らかに安い。差額を投資に回せばさらに差がつく
- 過去30年、変動を選んだ人がずっと勝ってきた実績がある
固定派の言い分
- 返済額が確定する安心感。金利のニュースに一喜一憂しなくていい
- 「上がったらどうしよう」を、お金で解決できる
ちなみに僕の周りの友人たちは、圧倒的に変動派が多数です。住宅金融支援機構の最新の調査(2026年1月)でも変動型は75%と多数派。ただ、この割合は前回の調査から4ポイント減っていて、固定を選ぶ人がじわりと増え始めています。「金利は上がる」と見る人も7割を超えました。世の中も、少しずつ動き出しているのかもしれません。
実際、わが家が10年固定で過ごしたこの10年も、結果だけ見れば変動を選んだ人の勝ちでした。低金利が続いたので、わが家が払った「固定の安心料」はリターンを生まなかった。友人たちの選択は、結果として正しかったわけです。これは認めます。
でも、です。
過去10年の答え合わせと、これからの10年の選択は、別の問題なんですよね。
低金利時代の「変動有利」は、「金利はどうせ上がらない」という前提に乗った戦略でした。いまは日銀が利上げを進め、わが家のように満期で2%台を提示される人が現実に出てきています。
モゲチェックの2026年の調査によると、直近1年以内に住宅ローンを借りた人の約7割が「変動金利は2%以上に上がる」と予想しているそうです(最多回答は「2〜3%」)。
前提が変わったなら、戦略も変わる。だから僕の整理はこうです。
低金利時代なら、変動でよかった。
でもこれからは、「家計が詰む」リスクをなくすために、固定がベター。
変動を選んでいいのは、金利が想定外に上がったとき自力で対応できる人だけ。
ここでひとつ、大事な言葉の整理をさせてください。この「固定」は、完済まで金利が変わらない「全期間固定」のことです。
わが家が選んだ「当初10年固定」は、固定という名前がついていても、実態は“満期付き”の商品でした。10年分の安心は買えますが、金利リスクが消えるわけではなく、満期の日まで先送りされるだけ。その満期で僕は、2.45%という現実を突きつけられたわけです。
リスクをなくすために固定を選ぶなら、全期間固定。当初固定型が候補になるのは、固定期間中に完済(または大きく繰り上げ)できる見込みがある人くらいだと思います。
| 変動 | 当初固定 (10年固定など) |
全期間固定 | |
|---|---|---|---|
| 当初の金利 | ◎ いちばん低い | ○ やや低い | △ いちばん高い |
| 金利リスク | △ ずっと自分持ち | △ 満期の日に戻ってくる | ◎ 完済まで消える |
| 「満期」 | なし | ある(ここが落とし穴) | なし |
| 向いている人 | 上がっても自力で対応できる人 | 固定期間中に返し切れる人 | 詰むリスクを消したい人 |
そう考える理由は、シンプルです。
家を買ってローンを組んだ時点で、人生でいちばん大きなリスクをすでに取っているから。
何千万円の借金を背負い、数十年の返済を約束する——これ自体が大きな賭けです。そのうえ金利の行方まで賭けに出る必要が、果たしてあるのか。
固定金利は「安心を買うコスト」と言われますが、すでに大きなリスクを抱えた家計にとって、金利リスクをお金で消せるなら安い買い物だと、満期を経験したいまは思います。
それでも、わが家は変動を選んだ——でも矛盾じゃない

「固定がベターと言いつつ、お前は変動を選んだのか」と思いますよね(笑)。
はい、わが家は満期で変動1.575%に切り替えました。
矛盾しているようで、していません。さっきの結論には続きがあるからです。
変動を選んでいいのは、金利が想定外に上がったとき自力で対応できる人だけ——わが家は、ぎりぎりその条件を満たしていました。
わが家が変動を選べた理由は2つあります。
- 目先の低金利を取れる:提示された固定2.45%と変動1.575%の差は大きく、当面の返済負担が明らかに軽い
- 想像以上に金利が上がったら、その時点で対応できる:この10年で積み上げた資産があり、いざとなれば残債を返してしまえる。実際、満期のタイミングで残債の半分(750万円)を繰り上げ返済して、リスクの総量そのものを小さくしました(この経緯は前回の記事で)
つまりわが家にとっての変動は、「金利は上がらない」に賭けたのではなく、「上がっても詰まない」状態を先に作ったうえでの選択です。

変動が正解だったんじゃなくて、「変動を選べる体力」がわが家にあった、というだけの話なんです。10年前の、資産がまだ少なかったわが家なら——10年固定ではなく、全期間固定を選ぶべきだったと思います
整理:固定か変動かは、この順番で決める
満期を経験して固まった、わが家なりの考え方です。金利の予測は入っていません。自分でコントロールできるものだけで決める順番です。
- そもそも、身の丈に合った借入額か
ここが崩れていたら、固定でも変動でも詰みます。わが家が「2000万円の中古」に救われた話はこちら - 金利が上がったとき、自力で対応できる資産がないなら→固定
対応手段がないのに金利リスクを取るのは、賭けです。家を買った時点で大きなリスクは取り済み。金利まで賭けに出ない - 対応できる資産があるなら→変動も「選べる」
変動が正解になるのではなく、選択肢に入る。そして資産は、いざというときの「保険」として持ち続ける
Q1. 身の丈に合った借入額?
└ NO → 金利タイプの前に、予算の見直しから
└ YES → Q2へ
Q2. 金利が上がっても、自力で対応できる資産がある?
└ NO → 固定(全期間固定)
└ YES → 変動も選べる(資産は「保険」として持ち続ける)
世の中の比較記事は「どっちが得か」を競います。でも、得かどうかは将来の金利次第。あくまで結果論。
だから問いを「どっちが得か」から「うちはどっちなら詰まないか」に変えるべきです。
公務員のあなたには、ひとつだけ補足
公務員は収入が安定していて、ローンの審査にも強い。だから「変動で攻めても大丈夫」と考える人が多いし、それは一理あります。さっき「僕の周りの友人たちは圧倒的に変動派」と書きましたが、その友人たちの多くも公務員です。
でも、このブログを読んでいるあなたは、心のどこかで「いつか辞めたい」と思っているんじゃないでしょうか。だったら、話は別です。
「安定収入があるから変動でも大丈夫」という前提は、辞表を出した瞬間に消えます。そして辞めたあとは、借り換えという逃げ道も使えません(僕がそうでした)。
辞める可能性が少しでもあるなら、あなたにとっての固定金利の価値は、世間の比較記事が言うより高い。
住宅ローンは「辞める前に整えておくものリスト」の最上位に入れてください。
これから住宅ローンを組む予定のあなたへ
最後に、これから住宅ローンを組む人・固定の満期が近い人に向けて、満期経験者として伝えたいことをまとめます。
- ✅ 当初固定には満期が来る。10年は思ったより早い。「そのとき考えよう」の”そのとき”は必ず来ます
- ✅ 満期の日に選択肢が多い人は、それまでの10年で準備した人。借り換えは審査に通る属性が、繰り上げ返済は資産が必要。どちらも満期の日に思いついても間に合いません
- ✅ 退職・転職を考えているなら、ローンの見直しは「辞める前」。僕は退職後に満期が来たので、借り換えという選択肢はありませんでした(辞める前のチェックリスト)
- ✅ 迷ったら、詰まないほうへ。これからの時代、リスクを抑えるなら固定。攻めるなら、攻めても詰まない体力を先に作る(資産づくりの話)
まとめ
- 低金利時代の「変動有利」は、低金利という前提あっての常識だった。前提が変われば、ベターも変わる
- これからの時代は、家計が詰むリスクをなくすために固定(=全期間固定)がベター。変動を選んでいいのは、上がっても自力で対応できる人だけ
- 「当初10年固定」は固定の顔をした満期付き商品。金利リスクは消えず、満期の日まで先送りされるだけ
- わが家が変動を選べたのは、資産という保険と、元本を減らす繰り上げ返済をセットにできたから
- 決める順番は「身の丈に合った住居選び→資産がないなら固定→あるなら変動も選べる」。金利予測はいらない
それでは、また!

コメント