「家を買うなら、賃貸と持ち家、どっちがいい?」
住宅の話で必ず出てくる、この永遠のテーマ。
ネットで調べると、最近は「賃貸のほうがいい」という意見が多いように感じます。身軽だし、ローンに縛られないし、と。
でも、僕の考えはちょっと違います。
僕は“持ち家”を買って、それでも県庁を早期退職できました。
築30年・2000万円の中古住宅(いまは築40年になりました)。妻と子ども2人と暮らす、わが家です。

正直、賃貸でもよかった。でも、結果的にこの「中古の持ち家」が、僕を早期リタイアへ運んでくれたんです
申し遅れました。こんにちは、18年勤めた県庁を早期退職し、主夫FIRE中のなおです!
(※FIRE=Financial Independence, Retire Early。資産と支出のバランスを整えて、働かなくても生活が回る状態をつくり、早期リタイアすること)
最初に言っておくと、僕は「持ち家派」でも「賃貸派」でもありません。
どっちが正解かは、人による。
ただ、早期リタイアという視点で見たとき、大事な条件はひとつだけありました。
持ち家でもいい。ただし“身の丈に合った金額”にすること。これが早く辞めたいなら絶対条件。
- 「賃貸が有利」論の本当のところと、落とし穴
- 持ち家の最大のリスク——“多額のローン”は人生の選択肢を消すという話
- なぜ持ち家でも早期リタイアできたのか——“中古2000万”という選択肢のリアル
「早く仕事を辞めたい」「でもマイホームもあきらめたくない」——
そんな方の参考になればうれしいです。ぜひ最後までお読みください😄
賃貸のよさは、ぜんぶ本当
まず、賃貸のよさを正直に認めるところから始めます。
賃貸最大の武器は、身軽さ です。
- 引っ越しが簡単。転職、離婚、親の介護、収入減、ご近所トラブル——人生の「まさか」に、柔軟に対応できる
- 大きな頭金がいらないぶん、若いうちからお金を投資に回しやすい
- 住宅ローンという負債を背負わなくていい
- 設備が壊れたら、大家さんが直してくれる
とくに資産形成の観点では、「頭金や諸費用に使うはずだった数百万円を、20代30代のうちから投資に回せる」のは大きい。
長期投資は時間をかければかけるほど複利が効いて利益が出やすくなるので。
僕も投資を始めてからこの理屈を知って、「先に知りたかった〜」と思いました(笑)
ただし、賃貸にも弱点はあります。
- 家賃は永遠に払い続ける。90歳まで生きれば90歳まで
- 無職や高齢になると、借りにくくなる現実がある(保証会社や大家さんの審査)
- そして子育て世帯には——騒音問題
わが家にとっては、この最後のひとつが決定打でした。
子どもって、泣くんですよ。走るんですよ。深夜も早朝もおかまいなしに(笑)
「下の階に響いてないかな」と毎晩ヒヤヒヤしながら子育てするストレスは、家賃には換算されていません。妻が「持ち家がいい」と言った一番の理由もこれでした。
賃貸vs持ち家論争って、お金の話に偏りがち。でも大事なのはそれだけじゃありません
ここまでの賃貸・持ち家の良し悪しを、いったん表で整理しておきます。
| 観点 | 賃貸 | 持ち家 |
|---|---|---|
| 住み替えのしやすさ | ◎ いつでも身軽 | △ 売却の手間と費用 |
| 初期費用 | ◎ 敷金・礼金中心 | △ 頭金+諸費用で数百万円 |
| 月々の住居費 | ○ 一定だが一生続く | ◎ 完済後は激減 |
| 老後・無職になったとき | △ 審査で借りにくい | ◎ 住む場所は確保される |
| 設備の修繕・故障 | ◎ 大家さん負担 | △ 自己負担 |
| 子どもの騒音 | △ 階下に気を使う | ◎ 気が楽(戸建てなら特に) |
| 資産として残るか | △ 残らない | ○ 残る(ただし値下がりリスク) |
| ローンの縛り | ◎ なし | △ 「働き続ける前提」になりがち |
こうして並べると、どちらも一長一短。「だから人による」で終わりそうになりますが——表の最後の行に、この記事の本題が隠れています。
持ち家の最大のリスクは、ローンが「選択肢」を消すこと
一方、持ち家のメリットは賃貸のデメリットの裏返しです。
- 無職になっても、老後になっても、住む家が確保されている
- ローンを払い終えれば、住居費という固定費が激減する
- 子どもがどれだけ騒いでも(程度はあるけど)気が楽
実際、退職して無職になった今、「住む家がある」という安心感があります。審査もない、追い出されない、家賃の値上げもない。
でも——持ち家には、買う前の僕が気づいていなかった最大のリスクがあります。
それは、多額のローンを組むと、「辞める」「働き方を変える」という人生の選択肢が消えてしまうこと。
怖いのは持ち家そのものではなく、ローンの大きさ。逆に言えば、ローンが身の丈に収まってさえいれば、このリスクの大半は消えます。
4000万円の新築、月々の数字で見ると
僕の住む地域では、新築一戸建ての相場はおおむね4000万円。周りの公務員仲間も、大体このクラスの新築をローンで建てています。
仮に4000万円を35年ローンで組むと、月々の返済はざっくり11万円台になります(金利によりますが)。
一方、わが家の2000万円・35年ローンの返済は月5.8万円。
(金利1.2%・35年元利均等。当時のわが家の実際の借入条件です。4000万円のほうは同条件で試算)
差は月5万円以上、年間にして約70万円。これが35年続きます。
月5万円というのは、携帯を格安SIMにして、保険を見直して、サブスクを切って——固定費削減を頑張り倒して、やっと出てくる金額です。家の選択ひとつで、それが最初から決まってしまう。
そして何より重いのは、「月11万円の返済がある人は、仕事を辞められない」ということ。
ローンを組む瞬間は、気づけない。公務員なら審査はすんなり通るし、「みんなこれくらい借りてる」から不安にもならない。
でも、35年ローンの裏の意味はこうです。
「私はこれから35年間、働き続けます」という宣誓書。
働き続けられる保証なんて、どこにもないのに、です。
僕は18年目に体調を崩すなどの事情から退職しました。公務員でも、病気にもなるし、メンタルも折れる。「安定しているから大丈夫」は、未来の自分への過信だと、身をもって知りました。

周りの公務員の友人の新築、きれいでうらやましい。でも「あと30年働く前提」だと考えると——ちょっとぞっとするんです
わが家の話:「6000万円まで借りられますよ」に浮かれた僕
偉そうに書いてきましたが、白状します。買う前の僕は、何ひとつわかっていませんでした。
わが家が持ち家を買ったのは、妻が持ち家ほしいと言ったから。これに尽きます。
妻の妊娠がわかった頃、「子どもが産まれたらアパートは手狭になるし、生活音も気になる。だから持ち家がいい」という妻の主張に流されて、家探しを開始(笑)
そして住宅展示場を回るうちに、どっちでもよかったはずの僕も、まんまと「新築一戸建ていいなぁ」とテンションが上がっていきました。
ダメ押しが、ローンの相談で言われたこの一言。
「公務員のご夫婦なら、6000万円くらいまでお借りいただけますよ」
「自分にはそれだけの価値があるのか!」と変な勘違いをして、気持ちが大きくなってしまいました。月々の返済額がどんな意味を持つかなんて、考えもしません。こうして、ごく自然に「相場どおり4000万円の新築を建てる」流れができあがっていきました。
たまたま中古住宅を買うことになった
ただ、結局わが家は、中古の一戸建てを買うことになります。
理由は立派な計算ではなく、住みたい地域に空いている土地がほぼなかったから。
数か月探しても見つからず、疲れてきたころに「いい場所に中古物件がある」という話を聞き、見に行ってわるくなかったので、その場で購入を決断。築30年、リフォーム済みで内装はきれい。購入費は約2000万円、ローンは最長の35年で組みました。
想定の半分の額です。
当時は「まぁ安く済んでよかったね」くらいの感覚でした。定年まで働くつもりだったし、4000万円の意味も2000万円のありがたみも、まるでわかっていなかった。
でも振り返れば——この偶然こそが、僕が40代で退職を選べた最大の理由でした。

身の丈に合った家を「選んだ」んじゃなく、土地がなくて「そうなった」。お恥ずかしい話、わが家は偶然に救われたんです
中古2000万円で済ませてよかった理由
その「偶然の2000万円」が、後からどう効いてきたか。3つあります。
理由①:月5.8万円は、もはや「家賃より安い」
月5.8万円の返済は、この地域でファミリー向けの賃貸を借りるより安いくらいの水準です。
つまりわが家は、「持ち家の安心」を「賃貸並みのコスト」で手に入れた状態。賃貸vs持ち家論争の、ある意味ずるい答えです(笑)
理由②:残債が「人質」にならない金額
退職した時点でのローン残債は、約1500万円。
わが家の運用資産は3000万円を超えているので、いざとなれば一括で完済できます。
「返せるけど、あえて低金利のローンを残して資産運用に回す」のと、「返せないから働き続けるしかない」のとでは、同じ“ローンあり”でも自由度がまったく違う。
ローンが人質じゃなくなった瞬間、持ち家のリスクはほぼ消えます。
※なお、実はその後、今年3月に一部繰り上げ返済をして、現在の残債は約750万円になりました。「投資に回す派だった僕がなぜ?」という経緯は、こちらの記事で → 繰り上げ返済か、NISAか|投資派の僕が住宅ローンを750万円返すと決めた理由
理由③:そして退職を選べた
退職を決意したとき、わが家の家計シミュレーションで住宅費は「月5.8万円・固定」でした。
これが月11万円だったら? 計算するまでもなく、退職のハードルは倍以上に跳ね上がっていたはずです。
もしそうだったら、今ごろ無理して働き続けて体調はさらに悪化していたかもしれません。想像しただけでぞっとします。
2000万円だったから、辞められた。
僕の主夫FIREの土台は、妻の収入、投資で築いた一定の資産、そしてこの家です。
正直に言うと、デメリットもある
いいことばかり書くのはフェアじゃないので、中古住宅のリアルも。
- 冬、寒い(笑)。築40年の断熱性能は、最新の新築には遠く及びません。冬の朝の廊下は修行です
- 修繕費がかかる。給湯器や外壁など、設備の寿命はこれから順番にやってきます。わが家もそこは覚悟しています
- 新築のような「自分仕様の家」へのあこがれは、満たされません
それでも、4000万円との差・2000万円分の自由と引き換えなら、僕は何度でも同じ選択をします。
ちなみに、修繕費は削れませんが——同じ持ち家の固定費でも火災保険は、見直しで安くなる余地があります。各社バラバラに問い合わせるのは大変なので、比較するなら一括見積もりが手軽です。

寒さは着込めばなんとかなる。でも、消えた選択肢は着込んでも戻ってこないですからね(笑)
結論:持ち家か賃貸かじゃなく、「いくらの家か」
ここまで読んでいただいた方には、もう伝わっていると思います。
早期リタイアの視点で見たとき、本当の分かれ道は「持ち家か賃貸か」ではなく「住居費がいくらか」です。
- 身の丈に合った持ち家 = アリ
- 身の丈に合った賃貸 = アリ
- 身の丈を超えた持ち家 = 選択肢を失う
- (身の丈を超えた賃貸 = あまり聞かないけど、同じく危険)
- 月々の返済が、近隣の家賃相場と同等以下
- 残債が、目標資産額に対して「いざとなれば返せる」範囲
- 「この返済額でも、片方が働けなくなって大丈夫か?」に夫婦でYESと言える
これはあくまでわが家の物差しです。でも、「借りられる額」と「借りていい額」がまるで別物だということは、誰にでも当てはまると思います。
若い公務員のあなたに伝えたいこと
最後に、かつての僕と同じ立場の方へ。
公務員のあなたは近いうちに、こう言われるかもしれません。
「お客様なら、6000万円までお借りいただけますよ」
それは、あなたの価値が6000万円という意味ではありません。「あなたの今後35年分の労働を、担保にできる」という意味です。
持ち家が悪いわけじゃない。新築だって、それが人生の優先順位の一番上なら、堂々と建てればいい。
ただ、多額のローンを組むことのリスクを知ることは絶対に必要。
- 4000万円の家は、「定年まで働く人生」とセット販売
- 2000万円の家なら、「途中で降りる自由」を手元に残せる
10年前の僕は、そんなこと1ミリも考えずに家を買いました。
偶然に救われただけです。
でも、これを読んでいるあなたは、選んで身の丈の家にできる。
家は、人生の目的じゃなくて、人生を載せる器です。
器に人生を食われないように——家選びの際は、ぜひ「早期リタイアしたくなった未来の自分」も会議に呼んであげてください😄
まとめ
- 賃貸の身軽さは本物。でも騒音・老後の借りにくさという弱点もある
- 持ち家最大のリスクは、多額のローンが「辞める自由」を消すこと
- わが家は中古2000万円・月5.8万円。これが退職を選べた一番の土台
- 分かれ道は「持ち家か賃貸か」ではなく「住居費がいくらか」
- 「借りられる額」と「借りていい額」は別物
わが家の選択が、唯一の正解だとは思いません。
でも、「家の金額が、人生の自由度を決める」——これだけは、18年勤めて辞めた僕の実感として、自信を持って言えます。
あなたの家選びが、未来の選択肢を増やすものになりますように。
それでは、また!
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