金利が上がるみたいだし、住宅ローン繰り上げ返済したら?
なおいやいや、返したばかりでしょ。
これ以上はもったいないよ…
わが家は2026年3月に、僕が折れて750万円を繰り上げ返済しています。
残るローンは700万円ほどです。
僕は投資を続けたい派で、妻は住宅ローンを早く返したい派。
「投資に回した方が増えるはず」と主張しても、「それは確実じゃないから」と言われると平行線です。
しかも、住宅ローンの金利は上がってきています。
「まだ金利が低いんだから、返さなくてもいい」と、いつまで言い続けられるか…。
そこで、「金利が何%になったら返すか」を、数字で考えてみました。
僕の答えは、金利3〜4%です。
こんにちは、18年勤めた県庁を早期退職し、主夫FIRE中のなおです(2級FP技能士)。
今回は、投資派の僕がこの数字にたどり着くまでの考え方を書きます。
- 繰り上げ返済が「確実な運用」と言える理由
- 期待7%の投資が、条件によっては確実な3.8%と同じ価値になるわけ
- 金利が上がる前に、慌てて返さなくてもいい理由
- 計算は3.8%なのに、僕が3%から考え始める理由
繰り上げ返済は「ローン金利と同じ利回り」の確実な運用

繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別に、住宅ローンの元本を前倒しで返すことです。
元本というのは、借りているお金のことです。
住宅ローンの利息は、残っている元本に対してかかります。
元本を早く減らせば、そのぶん将来払う利息も減らせるわけです。
仮に金利1%でローンを組んでいるとします。
このとき繰り上げ返済するのは、1%の利回りで投資をしたのと同じです。
100万円を返済したら、100万円×1%=1万円。
年1万円の利息を、確実に減らせます。
繰り上げ返済は、ローン金利と同じ利回りの「確実な運用」なんです。
- 利回りは、ローン金利と同じ
- 変動金利で金利が3%まで上がれば、同じ100万円で減る利息は年3万円に
- 投資と違って、返したお金が値下がりすることはない
金利が上がるほど繰り上げ返済のメリットが大きくなるのは、このためです。
返し方には、完済時期を早める「期間短縮型」と、月々の返済額を減らす「返済額軽減型」があります。
減らせる利息の総額は、期間短縮型の方が大きくなります。
※ここでは、生活費や近いうちに使うお金とは別の「余裕資金」で返す場合を考えます。
では、この確実な利回りを、投資の期待リターンと比べるとどうなるでしょうか。
投資の期待リターンと比べると?

わが家の変動金利は、年1.575%。
10年固定の満期で変動金利に切り替えたときの金利で、今のところ変わっていません。
繰り上げ返済と比べるのは、僕も新NISAで持っている、S&P500やオルカンといった投資信託です。
S&P500と、オルカンが連動する全世界株式の指数について、過去30年の実績を見てみます。
| 指数 | 過去30年の年率リターン |
|---|---|
| S&P500 | 約10.3% |
| 全世界株式(MSCI ACWI) | 約8.5% |
※期間は、S&P500が1996〜2025年、全世界株式が1996年10月〜2026年9月(どちらも30年)。
米ドル建て・配当再投資・費用控除前の指数の年率で、円建て投信の実績とは異なります。
出典:S&P500は米国の投資信託(Matthew 25 Fund)の株主あての手紙、全世界株式は運用会社Calamosの資料に載っているMSCI ACWI指数の値。
過去と同じリターンが、今後も得られるとは限りません。
ここでは過去30年より控えめに、将来の期待リターンを年7%と置いて考えます。
※期待リターンは、平均するとこのくらい増えると見込める利回りのことです。
毎年この通りに増えるわけではありません。
なお期待7%の投資と、1%台のローン。
数字の上では、5%以上の差があります。
繰り上げ返済するのは、「さすがにもったいないな~」と思ってしまいます。
とはいえ、これはあくまで期待リターン。
確実にとれるリターンとは限りません。
一方で、繰り上げ返済で減る利息は確実です。
“確実なのか、期待なのか”は大きな違いで、数字の大きさだけでは決められません。
確実に減る利息と、期待できるけれど減ることもある投資。この2つを、どう比べればいいのでしょうか。
期待7%の投資は、確実な何%と釣り合う?

この2つを比べるときに参考になるのが、「確実性等価」という考え方です。
確実に年何%もらえるなら、値動きのある投資と同じくらい魅力的に感じる?
たとえば、期待7%の投資と「確実に年4%もらえること」を同じくらい魅力的に感じるなら、その人にとっての確実性等価は年4%です。
確実性等価とは、不確実な投資と同じくらい魅力を感じる、確実なリターンのことです。
金融理論で使われる考え方で、住宅ローンの返済と投資を、期待収益とリスクの両面から分析したスウェーデンの中央銀行の調査資料もあります。
この数字は、投資の値動きの大きさと、その人のリスク許容度で変わります。
値動きの大きさ(標準偏差)は、過去30年のS&P500とほぼ同じ、年18%と置きます。
※標準偏差は、リターンが年ごとにどれくらいばらつくかを表す指標です。
| リスク許容度の仮定 | 釣り合う確実な利回り |
|---|---|
| 高め | 約5.4% |
| 中くらい | 約3.8% |
| 低め | 約2.1% |
※3つとも説明用の設定です。僕や妻のリスク許容度を測ったものではありません。
ローン金利がこの数字まで上がると、「全部投資する」と「全部返す」が釣り合う計算です。
たとえば「中くらい」なら、期待7%の投資は、確実な3.8%と同じくらいの価値。
繰り上げ返済の利回りはローン金利と同じなので、金利が3.8%に近づくほど、返済が投資に追いついてきます。
ただし、これは期待リターンを7%と置いた場合の数字です。
期待リターンを1%低く見積もれば、表の数字もそのまま1%下がります。
リスク許容度が低い人ほど、低い金利でも返済を選びたくなります。
妻の「早く返したい」という気持ちも、こう考えると理解できます。
式が気になる人へ(タップで開く)
確実性等価=期待リターン−リスク回避度×標準偏差の2乗÷2
リスク回避度は、リスク許容度が低いほど大きくなる係数です。
表は、高め=1、中くらい=2、低め=3で計算しています。
係数は人それぞれで、自分の値を正確に知るのは簡単ではありません。
真ん中の2は、経済学の研究でよく使われる値です。
中くらい(2)の場合:
0.07−2×0.18×0.18÷2=0.0376
つまり、約3.8%です。
※7%は、年ごとのリターンの平均として置いています。
金利が上がったら、そのとき比べ直せばいい

日銀の利上げを受けて、銀行でも住宅ローンの変動金利を見直す動きが続いています。
日銀も経済・物価情勢に応じて追加利上げを進める方針を示していて、この先の返済負担が気になるところです。
それでも、「上がりそうだから」と先回りして返す必要はないと、僕は考えています。
変動金利なら、金利が上がってから繰り上げ返済しても、その先の利息は減らせるからです。
上がったときに、そのときの金利で比べ直せば間に合います。
わが家の今の金利は、さきほどの表のどの数字にも、まだ届いていません。
ただし、金利が上がると毎月の返済が苦しくなる家計なら、先に元本を減らしておく安心もあります。
どちらにしても、返す前に確認しておきたいことが3つあります。
- 手元資金:生活費や進学費用など、近いうちに使うお金は残す。返したお金は戻ってこない。
- 住宅ローン控除:控除を受けている間は、実質の金利がそのぶん下がる。
- 団信(団体信用生命保険):万一のときにローンを保険で返す仕組み。ローンが減ると、保険で返済される額も減る。
住宅ローン控除は、一定の条件を満たすと、年末のローン残高の0.7%(現行制度)を所得税などから差し引ける制度です。
控除を満額受けているなら、実質の金利はおよそ0.7%下がります。
たとえば金利1.5%なら、実質は0.8%ほど。
返済の利回りもそのぶん下がるので、控除を受けられるうちは繰り上げ返済しない方がいい、と考える人が多いと思います。
わが家は築年数の関係で、控除の対象外でした。
でも、もし控除を受けられたなら、少なくともその期間は繰り上げ返済しなかったと思います。
※控除額は、借入限度額や納めている税額などで変わります。
繰り上げ返済で、借入当初からの返済期間が10年未満になると、控除を受けられなくなる点にも注意が必要です。
では、僕はどこに線を引くのか。
最後に、わが家の場合を書きます。
僕は金利3〜4%を目安に、追加の繰り上げ返済を検討する

僕自身のリスク許容度は、表でいえば「中くらい」だと思っています。
期待7%の投資と釣り合う確実な利回りは、約3.8%です。
ただ、「全部返す」か「まったく返さない」かの二択ではありません。
金利が上がるにつれて、返す割合を少しずつ増やしていく方法もあります。
だから僕は、3.8%の少し手前、金利3%あたりから追加の返済を考え始めるつもりです。
- まずは投資を続けたい。
- 金利が上がれば、繰り上げ返済の利回りも上がる。
- 金利3〜4%くらいになったら、手元のお金や投資の状況を見て、追加の返済を具体的に検討する。
資金面の事情もあります。
僕は退職金約550万円のほとんどを投資に回していて、追加返済に回せる現金は、ほとんどありません。
NISAの積立も、手元の現金が減ってきたこともあって、2026年7月に止めました。
積立を止めた理由は、こちらの記事に書きました。
まとまった額を返すなら、新NISAで運用している投資信託を売る必要があります。
だから僕にとっては、今の投資を減らしてでも返すか、という判断になるんです。
わが家は、僕ひとりでローンを組んでいるわけでもありません。
妻との連帯債務ですし、家の返済をどうするかは夫婦で話し合って決めることだと思っています。
3月に750万円を繰り上げ返済したのも、これはこれでバランスのとれた決断だったと思います。
金利がどこまで上がったら、追加で返すことを考えるか。
そのとき、手元にいくら残しておきたいか。
わが家の目安は3〜4%。
次に「繰り上げ返済したら?」と言われたら、「3%になったら考えよう」と話してみるつもりです。
とはいえ、夫婦円満は、どんな利回りにも代えられません(笑)
参考資料:
全国銀行協会「住宅ローンの繰り上げ返済、効果的に行うには?」
Duke大学 Bollerslev講義資料・確実性等価の定義と計算
FRB(米連邦準備制度理事会)の研究・係数の推定値
S&P500の年ごとのリターン(ニューヨーク大学 ダモダラン教授)
国土交通省・住宅ローン減税、国税庁・繰上返済等をした場合、住宅金融支援機構・団信
この記事は、筆者なお自身の体験と判断をもとに執筆しています。
文章の編集・校正にAIを活用していますが、内容の最終確認は筆者本人が行っています。

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