FIREや早期リタイアの話って、「どうやって貯めるか」ばかりが語られますよね。でも、本当に難しいのはその先です。貯めた資産を、どうやって取り崩していくか。ここなんです。
なかでも多いのが、「せっかく貯めたのに、売るのが怖い」という声。気持ち、すごくわかります。
ただ、先に結論を言ってしまいますね。
崩し方は、ひとつじゃありません。そして僕の本命は、「必要なときに、必要なだけ、手動で売る」。実際に崩す段になったら、僕はこれでいくつもりです。
とはいえ、「自分で売る判断なんてしたくない」「毎月決まった額が入ってくる安心がほしい」という人もいますよね。そういう人には、別の“次善策”もちゃんとあります。今日はその両方を、包み隠さずお話しします。
まず、わが家の前提を先に書いておきます
設計の話に入る前に、これだけは書いておきます。
僕は18年勤めた県庁を早期退職して、いまは主夫をしています。退職直後の総資産が3,000万円、いまは4,500万円ほど。(このあたりの背景は3000万円でセミリタイアした話に書きました)

ここで大事なのは、わが家には妻の安定収入があるということです。妻は教員なので、当面それが途絶える可能性は低い。今のところ、「妻の収入+手元の現金」で家計はだいたい回っています。
つまり、わが家はまだ、本格的には資産を取り崩していないんです。
いずれは「妻の収入と、資産の取り崩しで半々」みたいな形になる日は来るかもしれません。でも、それも“いつか”の話。
だからこの記事は、僕の実体験ではありません。「もし崩すなら、自分はこう考える」という話です。そこは先にお断りしておきますね。
取り崩しには「いくら?」と「どうやって?」がある
“いくら?”と“どうやって?”
取り崩しには、2つの問いがあります。
- いくら(何%)取り崩すか → 4%ルールが有名。率の話はこちらの記事に。
- それをどうやって取り崩すか(定額・定率・手動)→ 今日の本題。
この記事は、後者の「どうやって?」に絞ります。いくら抜くかが決まっても、その出し方を決めていないと、結局「売るのが怖い」で止まってしまうからです。
崩し方は大きく3つ
取り崩しの方法は、ざっくり3つに分けられます。
| 軸 | 手動 (必要なときに) |
定率自動 (資産の◯%) |
定額自動 (毎月◯万円) |
|---|---|---|---|
| 売るタイミング | 必要なときに自分で | 毎月、自動 | 毎月、自動 |
| 1回に売る額 | そのとき決める | 資産の◯%(相場で変動) | ◯万円(一定) |
| 相場が下がったとき | 自分の判断しだい | 売る額が自動で減る | 同じ額を売る |
| 手間 | 売るたびに判断 | 設定して放置 | 設定して放置 |
ざっくり言うと、ほったらかせる手軽さは自動の2つ(定額・定率)が上で、効率と暴落への強さは手動>定率>定額。きれいにトレードオフです。ちなみに定額と定率は、手間そのものは変わりません。違いは“毎月の受取額が一定か、変動か”だけ——固定給みたいに読めるのが定額、相場で上下するのが定率です。
自動売却は、もう使える選択肢
投資信託の定期売却は、いまは証券会社のサービスとして普通に用意されています。
- 楽天証券:金額・定率・期間から選べる
- SBI証券:定率・期間指定やNISA口座での定期売却にも対応
細かい対応口座や条件は会社ごとに違うので、使う前に最新案内だけ確認でOKです。
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4%ルールも、「いくら」と「どう出すか」の組み合わせ
4%ルールは、ざっくり言うと「いくら取り崩すか」の目安です。ただ、出し方には2つあります。
- 退職時資産の4%を毎年出す:定額に近い
- その年の資産の4%を毎年出す:定率
ここで大事なのは、4%に自動で乗るだけが正解ではないこと。僕は別の選択肢として、「手動で必要なだけ」もありだと思っています。
4%という数字自体の話は、こちらの記事で詳しく書いています。
僕の本命は「手動で、必要なだけ」

では、なぜ僕は、いちばん手間のかかる「手動」を本命にするのか。理由は4つあります。
手動を本命にする4つの理由
- 自分で“配当”を作る感覚 — 必要になったら、必要な分だけ売る。これって、自分のタイミングで配当を出しているのと同じなんですよね。
- ムダに売らない — 要らない月は売らない。だから運用を続けられるし、利益を確定しない年は課税も起きません(=課税の繰り延べ)。
- 売る年・売る額を自分で選べる — いつ・いくら利益確定するかを完全に自分の手に残せる。これは誰にとっても効く長所です。(わが家の場合は、加えて妻の収入+現金で当面まかなえるので“必要なときだけ”で実際に足りる、という事情もあります)
- 暴落のときに“売らない”を選べる — これが最大の理由かもしれません。
4つ目を少し補足させてください。
取り崩しで本当に怖いのは、暴落そのものより、暴落の“タイミング”なんです。
取り崩しを始めた直後に大きく下げると、安値で多くの口数を売ることになりやすく、その後の資産の戻りが鈍りがちです。回復が追いつかなくなることもあります。これがシークエンス・オブ・リターン・リスクと呼ばれるもの。
でも手動なら、「いまは売らない」が選べます。大きな出費は先送りして、手元の現金で食いつなぐ。相場が戻るのを待ってから、売り直せばいい。
わが家は生活防衛資金を厚めに持っているので、暴落が長引いても、しばらくは現金で乗り切れます。「必要なときだけ手動」は、守りでもけっこう強いんですよ。これは、現金のバケツで初期の下落をしのぐ「バケツ戦略(バケット戦略)」の簡易版でもあります。
これ、持っている資産が複数あるほど効きます。僕は株(インデックス)のほかに、債券やゴールドも少し持っているんですが、株が大きく下げた年は、下がっていないほうから先に崩せばいい。手動だからこそ、“いま何を売るか”まで自分で選べるんです(ぜんぶ自動だと、こうはいきません)。このあたり——何を、どの順で売るか——は、それだけで一本になるテーマなので、いずれ別記事で書こうと思います。
「売る判断がしんどい」人への次善策

ここまで読んで、「いや、その“自分で判断する”がいちばん無理」と思った人もいますよね。
それは、すごく自然な感覚です。毎回タイミングと金額を決めるのは、地味にストレスですから。
そういう人、つまり——
- 売るのが怖い人
- 売る判断そのものがしんどい人
- 毎月決まった額が入ってくる安心がほしい人
——には、「定額自動を土台にして、大きな出費だけ手動で足す」二段構えをおすすめします。
次善策=二段構え
- 土台:ふだんの生活費(固定費+いつもの変動費)を、定額自動でまとめて売る
- 上乗せ:旅行や家電みたいに、いつもより多くかかるときだけ、手動で足す
ここで「なぜ土台が“定額”なの?暴落に弱いって言ってたよね?」と思った人、鋭いです。
たしかに定額は、暴落時も同じ額を売る弱点があります。それでも土台を定額にするのは、土台がまかなうのは“毎月だいたいいくら要るか”が読める部分だから。収入がブレる定率より、「額が読める定額」のほうが向いています。
毎月、給料みたいに決まった額が口座に入る。あの高配当株の安心感を、配当なしで再現できるイメージですね。しかも“配当ではなく売って受け取る”やり方は、課税口座だと税金の面でちょっと有利だったりします(これは本命の手動でも同じ。詳しくは後で)。
じゃあ暴落のときは? 売ります。生活費として必要なお金は、相場が悪かろうと毎月かかるので、取り崩さざるをえない。「暴落時は売らない」という手動のいちばんの強みは、定額の土台では使えない。ここは割り切るしかないところです。
暴落のダメージを少しでも“土台に乗せない”工夫はできます。旅行や家電みたいな大きな出費を土台に含めず、手動の上乗せに回しておく。相場が悪いときに先送りできれば、いちばん安いところでまとめて売る最悪は避けられます。もちろん、前々から決めていた旅行や、壊れた家電の買い替えまで都合よく先送りできるかは、場合によりけり。完全にリスクを避けられるわけではないことは、覚悟しておきましょう。
ここまで「定額(土台)」と「手動(本命)」の話をしてきましたが、「残った定率は、結局どこで使うの?」と思った人もいますよね。
定率を本命にも土台にも選ばなかったのは、(1)毎月の入金額が読めず、生活費の土台には使いにくいこと、そして(2)相場がいい年は、使う予定がなくても売る額が増えてしまうこと——の2点です。
とくに(2)は地味に効きます。高く売れること自体は悪くないんですが、あまりお金を使わないタイプだと、運用できるはずの資産をわざわざ現金に換えて、手元で遊ばせるだけになりがち。
逆に言えば——資産が増えた年は、そのぶん旅行や趣味にパッと使いたい。相場が落ちた年は、自然と控えめになる。そういう「暮らしを相場に合わせて伸び縮みさせられる人」にこそ、定率はしっくりきます。
弱点も、フェアに(手動・自動に共通の注意点)
ここまでの“売って作る”やり方には、本命・次善策にかかわらず共通の注意点があります。いいことばかり言うのもフェアじゃないので、まとめて書いておきますね。
- 証券会社で仕様が違う — 自動売却は、手数料や対象商品、使える口座の種類が会社ごとに違います。始める前に、自分の使っている証券会社の仕様は確認してください。
- 税の有利さは「特定口座」の話 — さっき「売却は税で有利」と書きましたが、これは課税口座の話。配当は受け取った額の全部に課税、売却は値上がりした部分にだけ課税なので、同じ額を手にするなら売却が有利、という理屈です。ただしNISAの中なら、配当も売却益もどっちも非課税。差は出ません。
- 配当が安心な人は、それでいい — ここまで“売って作る”話をしてきましたが、「やっぱり勝手に入ってくる配当が安心」という人を否定するつもりはありません。その感覚も正解のひとつです(高配当の弱点については高配当よりインデックスに書きました)。
弱点まで含めて知ったうえで選べると、迷いが減りますよね。
NISAの基本があやふやな人は、先にNISAの基本を読んでおくと、このあたりがスッと入ると思います。
まとめ|売り方を先に決めれば、怖さは消える

今日のまとめ
- 崩し方は、ひとつじゃない。
- 本命は「手動で、必要なだけ」。ムダに売らず、暴落時は“売らない”も選べる。
- 売る判断がしんどいなら、「定額自動+大きな出費は手動」の二段構え。
- どちらにせよ、売り方を先に決めておくと、「売るのが怖い」は静かに消えていく。
最初に書いた「売るのが怖い」って、結局のところ、売り方を決めていないことの不安なんだと思います。出し方を一度決めてしまえば、あとはそれに従うだけ。怖さの大半は、そこで消えます。
率を何%にするかを1つに決め打ちしなくていいのと同じで、出し方だって、ルールに縛られなくていい。わが家は当面、妻の収入と現金で回るので、しばらく資産は崩さないかもしれません。でも、いざ崩すとなったら、僕は「手動で、必要なだけ」でいくつもりです。
そして「攻めから守りへ」資産の役割が変わっていく流れについては、投資シフトの話にも書いています。あわせてどうぞ。
実際に取り崩しを始めたら、そのときはまた、うまくいったところも、しくじったところも、正直に報告しますね。
※この記事は、筆者なお自身の体験と判断をもとに執筆しています。文章の編集・校正にAIを活用していますが、内容の最終確認は筆者本人が行っています。
※本記事は特定の投資手法や金融商品を勧めるものではありません。最終的な判断はご自身の状況に合わせて行ってください。

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